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認知症ってなに?
アルツハイマー型と脳血管性
認知症には主に「アルツハイマー型」と「脳血管性」の2種類があります。アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞が急激に減ってしまい、脳が病的に萎縮して、知能低下や人格の崩壊が起こる病気です。脳血管性認知症は、脳血管の障害によって、脳の働きが悪くなって起こります。障害の部位によって症状は異なり、めまい・しびれ・言語障害・知的能力の低下などが生じます。
もともと日本ではアルツハイマー型認知症よりも脳血管性認知症が多かったのですが、最近はアルツハイマー型認知症が半数以上を占めるようになりました。
認知症の老人は現在160万人といわれていますが、厚生労働省では10年、20年後には250万人を突破、10人に1人が認知症になると予測しています。高齢社会を迎えた今、認知症はこれからの大きな課題のひとつなのです。
認知症は年寄りだけの病気ではない
認知症というと、高齢のお年寄りの病気のように思っていませんか?確かにアルツハイマー型認知症の平均発症年齢は70歳といわれていますが、実は30代、40代からアルツハイマー型認知症が報告されています。アルツハイマー型認知症は何らかの要因で脳細胞が変性し、次々に脳細胞が死滅していき、脳の萎縮や情報の断絶により引き起こされる病気です。また、交通事故や転倒による脳の障害がきっかけとなり認知症になる場合もあります。
認知症は、本人がつらいだけではありません。介助にあたる家族の負担が大きく、心労が重くのしかかってきます。
若いうちは大丈夫とか、としだから仕方がない、と放置しておくと危険。認知症は「脳の病気」であることを認識しておきましょう。ちょっとした兆候を見逃してはなりません。
認知症の症状はいろいろ
認知症になると、誰にでもみられる症状があります。「中核症状」と呼ばれますが、ものを覚える力がなくなることを<記銘力障害>・一度覚えたことを忘れない力がなくなることを<記憶力障害>です。
さらに、人によっていろいろな症状があります。「周辺症状」と呼ばれており、幻覚・妄想・うつ・排泄・感情障害・意欲減退・自発性低下などが見られます。しかし、人前ではきちんと対応し、しっかり見える人もいますし、逆に周辺状況がいくつか見られたからといって認知症とは判断できません。何かしら気づく点があったら専門医の診察を受けることが大切です。
認知症にならないように生活習慣を見直そう
脳血管性認知症は明らかに血管の老化から起きる病気ですが、アルツハイマー型認知症は現時点では、はっきりとした原因が分かっていません。しかし、どちらにおいても認知症を予防するには、生活習慣がとても重要であるといえます。
まず、タバコをやめ、バランスの良い食生活や適度な運動を心がけ、動脈硬化などが起きないように気をつけることが脳梗塞や脳卒中を予防し、ひいては脳血管性認知症を防ぐことになります。
最近の研究では、アルツハイマー型認知症も生活習慣を見直すことで発症を遅らせることができることがわかってきたそうです。運動・食事・趣味などを通じで脳を刺激するような活動が、脳の老化を防ぐことにつながるといいます。
高齢社会の課題のひとつ、認知症はコレからもっと解明されていくに違いありません。