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糖尿病の治療と予防
薬物療法
食事療法
目標
糖尿病の人も、体が必要としている栄養はとらなければならない。極端な栄養制限は有害である。年齢、性、生活活動度によって、栄養所要量は違う。摂取カロリーがこれよりわずかに少ない程度であるなら、問題は生じない。
食品交換表の利用は勧めない。カロリーが同じでも、血糖への影響は違うからである。
炭水化物が糖尿病に悪いという証拠はない。総エネルギーの55〜70%。高炭水化物食は血糖値を下げることが認められている。高炭水化物食がインスリンレセプターを増やし、かつ細胞内の糖質代謝を亢進させることが証明されている。炭水化物をたくさんとることが食後高血糖を起こすのではないかとの懸念がある。しかし実験では、高炭水化物・低脂肪食の方が、低炭水化物・高脂肪食よりも、血糖を下げやすい。また高炭水化物・低線維食が血清中性脂肪を上昇させることが知られているが、高炭水化物・高線維食は、中性脂肪を低下させることがわかっている。
ただし、複合炭水化物が勧められるのであって、精白炭水化物は望ましい食品ではない。
食物繊維が血糖を下げることが証明されており、できるだけ線維をとるべきである。高線維食は組織のインスリン感受性を高める。さらに、コレステロールを減らし、血圧を下げ、大腸ガンの危険を減らす。また、高線維食は様々なビタミン・ミネラルの摂取をもたらす。
食物繊維には、水溶性と非水溶性とがあり、水溶性線維が血糖を下げる。水溶性線維を含む食品は、果物・オーツ麦・大麦・豆類である。食物繊維として30〜50gが勧められる。
砂糖の使用は勧められない。果糖や、ソルビトール・マンニトール・キシリトールを少量使うことは容認できる。
蛋白質は0.8g/kg程度でいい。総エネルギーの12〜16%。とりすぎると、糖尿病性腎障害を起こしやすくする。動物性蛋白質は同時に脂肪も含むので、推奨できない。
脂肪はできるだけ少なくとるべきである。なぜなら、高脂肪食が糖尿病の最大原因だからである。脂肪摂取の多い民族ほど糖尿病が多い。近年の日本人の糖尿病多発は、食生活の洋風化と関係している。高脂肪食は、インスリン抵抗性を生じ、細胞内糖質代謝を傷害する。いろいろな組織のインスリンレセプターを減らし、ブドウ糖の筋肉や脂肪組織への移動を減らす。脂肪摂取は総カロリーの20%以下で充分である。牛乳・乳製品は勧めない。これらが糖尿病の発病と関係があるというデータが出てきている。
単価不飽和脂肪酸を多く含む食事の方が、多価不飽和脂肪酸を多く含むものよりも、血糖を下げやすいという報告が出てきている。これはインスリン感受性を高めるが、多量摂取でブドウ糖合成が盛んになるので、注意が必要である。
アルコール飲料は血糖を上昇させやすいので、禁止する。アルコールはエンプティカロリーであり、7カロリー/gである。
ビタミン・ミネラル類は豊富にとるべきである。野菜・果物・芋類・未精白穀物を充分とる。
運動療法
目標
運動処方
ウオーミングアップ
20〜40分、4〜7X/週、午前朝食前
50〜60%VO2max
血圧200mmHg以下